「海のいのち・海といのち」の気づきを届ける下関の人気水族館「海響館」へようこそ!「海響館」館長 立川 利幸さん

2026.05.25

「海のいのち・海といのち」の気づきを届ける
下関の人気水族館「海響館」へようこそ!
「海響館」館長 立川 利幸さん

山口県の下関市立しものせき水族館「海響館」は、地域色を生かした独自の個性でファンを魅了する本州最西端の水族館です。多くの船が行き交う関門海峡の眺めに加え、スナメリの愛くるしいパフォーマンスや約100種のフグの仲間、国内でも珍しいイルカ&アシカのプレゼンテーション(※1)など、楽しい展示のとりこになった方も多いでしょう。

そんな人気水族館とシャボン玉石けんによるコラボイベントが決定! それが、2026年5月25日~6月7日に同館で催される〈みずのなかまといっしょに「あらおう わらおう」〉です。その開催に先立つ5月中旬、シャボン玉石けんの森田隼人社長が「海響館」を訪問し、館長の立川利幸さんとお話しする機会をいただきました。水というキーワードでつながった“想いを共有する二人”の語らいをお届けします。

「海響館」館長 立川 利幸さん
1972年、大阪府生まれ。高校卒業後、世界最大級の水族館「海遊館」に就職し、イルカとアシカなど海獣類を中心に飼育展示を担当し、7年半務める。退職後の1999年、2年後に開業を控えた「海響館」のオープニングスタッフに参加し、海獣類を担当。2023年には3代目館長に就任し、楽しさと学びを両立した愛される水族館づくりに邁進している。

下関市立しものせき水族館「海響館」
2001年4月1日、日本海と瀬戸内海を結ぶ関門海峡の臨海地区に開業。関門海峡をテーマにした水槽やフグ目魚類の展示種数世界一など、下関の魅力発信を担う人気施設だ。国内最大級のペンギン展示施設「ペンギン村」や、貴重なシロナガスクジラの全身骨格標本をはじめ「海響館」ならではの見どころも多い。2025年8月のリニューアルで、より深い学びやエンターテインメント要素が加わった。
https://www.kaikyokan.com/
@shimonoseki_aquarium_kaikyokan (海響館Instagram)

このたびは、〈みずのなかまといっしょに「あらおう わらおう」〉にご協力いただきありがとうございます。「あらおう わらおう」は、シャボン玉石けんが“無添加石けん(※2)製造50周年”を迎えた2024年に打ち出したブランドメッセージで、これをもっと楽しく身近に伝えたい!との想いから企画したのが今回のイベントです。

立川館長
「海響館」は自治体の所有施設なので、ふだん民間企業のPRに直結することはやらないんですね。しかしシャボン玉石けんさんの活動内容や考え方には「海響館」と重なるところが多く、お話をいただいた時は「両者のメリットをうまく出せそうだな」と思いました。

シャボン玉石けんのことはご存知でいらしたんですね?

立川館長
もちろんです。「水の環境を考える」という点で、以前から水族館と親和性が高い企業だと感じていましたので前向きに検討させていただきました。
森田
あらためてご快諾に感謝します。これまで多くのイベントに協賛してきましたが、このようなイベントを主催するのは初めてなので、当社にも記念すべき一歩になりそうです。今回開催地を水族館にしたのは、「健康な体ときれいな水を守る。」という当社の目標をわかりやすく伝えられる場所だと思ったからです。当社の地元・北九州と海峡を挟んですぐ目の前にある「海響館」ですので。
立川館長
初イベントの場に選んでいただき光栄です。当館のスタッフも「ぜひやりたい!」と意気込んでいました。

イベントでは特別展示はもちろん、「オリジナル石けん作り」「ビンゴ」など4つの体験を用意していますが、気になるものはありますか?

立川館長
子どもたちが無添加石けんで手洗いして魚に餌をやり、最後には無添加石けんで手と容器を洗う「飼育体験」ですね。生き物とのふれあい体験は純粋に楽しいですし、生き物への親しみも深まります。それに、餌やりや手洗い、容器の洗浄を実際に体験すると「何のためにその行為をするのか」がよく理解できますよね。それは展示を観るだけでは得られないもので、実はイベントを行う意義もそこにあると私は思います。

学びの機会に恵まれた水族館は最適な舞台なので、来年以降も開催できたら嬉しいです。

立川館長
持続性は大事ですよね。私たちも、「何度も来たくなる水族館づくり」に尽力しているところなんです。2025年8月のリニューアルから来館者数は増えているのですが、今後、周辺人口が減っていくのは確実ですから。

ではその「海響館」についてご紹介いただけますか?

立川館長
「海のいのち・海といのち」をメインコンセプトにする「海響館」では、日本最大級のペンギン展示施設や、イルカとアシカの共演スタイルのプレゼンテーションといった全国でも珍しい展示を行っています。またフグのまち下関らしく約100種のフグを展示したり、関門海峡の潮流を水槽で再現したりするなど“下関らしさ”にこだわっているのも特徴です。目標として、私は常々スタッフに「良い水族館を目指そう」と語っています。あえて「良い」と表現していて、その思いは人それぞれ「良い」と感じる部分や見方が違う中で、多くの方に「良い水族館ですね」ということを目指したいというものです。展示がおもしろいのも「良い」し、プレゼンテーションがすごいのも「良い」し、繁殖に成功しているのも「良い」。つまり、誰がどんな過ごし方をしても満足できる施設ですね。最初はただ魚を見て「かわいいね」「楽しいね」で良いんです。そこに少しの学びを提供しながら、2度・3度と来館するうちに、メインコンセプトにもある命や自然保護の大切さなどを少しでも感じてもらえたら……というのが理想です。

高い意識で取り組んでいらっしゃるんですね。

立川館長
海響館には「観光振興の中核施設」という側面と「博物館としての社会教育施設」「環境保全に関する調査・研究機関」という側面があります。担うべき役割は、レクリエーション、地域活性化、地域貢献、水圏生物の展示、種の保存、調査研究、環境教育があり、それらをバランスよく進化・洗練させるつもりです。そのために私とスタッフが全力で献身すること──それが水族館を長く存続させるための筋道の一つだと考えています。でも個人的には、ここはすでに全国有数の「良い水族館」だと思っているんですよね(笑)。
そう思う理由は、やはりスタッフたちの努力です。たとえば来館者が水槽をのぞいた後、脇の解説を読んだときに「へえ」と驚かせる解説文の書き方がとてもうまい。そうした「へえ」をどんどん増やし、興味や好奇心の入口をいくつ作れるかが水族館には大切なんです。決して大きな施設ではありませんが、うちなりの個性は出せているし、「海響館」にはまだまだ伸びしろがあると信じています。

実は以前から、海響館はおいしそうな水族館だなと背徳感を覚えていたのですが、「魚食(ぎょしょく)」に目を向けてもらうのも水族館の役割とおっしゃっていたのに驚きました。

立川館長
基本的に水族館の魚は漁業者からいただいたり購入したりすることが多いので、漁業が盛り上がっていないと水族館は成り立たないという関係性があるんです。じゃあ漁業が盛り上がるにはどうすればいいのかというと、多くの人に魚を食べていただくのが一番だなって。日本人と魚食は切れない関係でもあると思いますし。
森田
そういえば館内にフグの刺身の大皿が飾られていましたね(笑)。
立川館長
あれも啓発の一環です。だから館内の魚を見て「おいしそう」って言われるのは嬉しいですよ。元気にイキイキ泳いでいるということですから。

「生き物を通して自然環境を考える」ことを忘れずに

森田社長は今回のコラボでどんな化学反応を期待しますか?

森田
館長がおっしゃるように、子どもたちが環境を考えるきっかけの場になれば、というのが一つですね。そして、何よりも無添加石けんを使ってほしいということ。手洗いの習慣はコロナ禍後に定着しましたが、無添加石けんが環境に良いというところまで理解が広がってないので、無添加のものを使えば「環境により優しいんだ」「海の生き物を守れるんだ」という気づきを与えられたらと思います。
立川館長
その通りですね。私も来館者……特に子どもへのアピールは大事だと思います。最近は「海についてもっと学んでもらおう」と、国からも海洋教育の必要性をよく言われます。ただ、もともと環境に関心がある人は自分から学びに来てくれるけれど、課題はどうやって無関心層にアプローチしていくか。だからこそ、長年環境に向き合ってこられたシャボン玉石けんさんとのコラボには期待しています。そのあたりの森田社長の想いは、本当に私たちと同じなんです。
森田
本当にそうですね。まずは「知ってもらうこと」が大事なんですよね。

アマミホシゾラフグの展示も面白く拝見しました。これは「調査・研究機関」としての成果ですね。

立川館長
あの“ミステリーサークル”の展示模型ですね。1995年頃、奄美大島の海底で謎の円形模様が見つかったことが発端で、調べていくとどうやら新種のフグが産卵のために作っているらしい。それで2012年から始まった現地調査に当館のスタッフが同行し、許可を得て卵を採集して孵化・育成にも挑戦してきました。何年も失敗続きでしたが、スタッフのひらめきと試行錯誤が実って、2024年に世界初の稚魚育成に成功したんです。そのフグには2014年にアマミホシゾラフグという美しい名前がつき、「海響館」では今でも調査研究を続けています。

育成成功の決め手は何だったのですか?

立川館長
担当スタッフが「水の環境が影響しているんじゃないか」と塩分濃度に着目したことです。アマミホシゾラフグの自然下での環境を考えながら試行し、ようやく成功にたどり着きました。おかげで、稚魚の展示も世界で初めて「海響館」で行うことができたんですよ。やっぱり水族館が対象とする多くの生き物の生命は水の環境に直結しているので、それについて真摯に考えることが非常に重要ですね。
森田
それを伺って、数年前に当社が宗像市の地島(じのしま)で行った実験を思い出しました。島民140名の方に無添加石けんを3カ月間使ってもらったところ、島からの排水がよりきれいになったんです。また、下水処理場の曝気槽(微生物の働きで水をきれいにする施設)にいる微生物の量と種類が増えました。専門家いわく、微生物がイキイキしていると。微生物の世界も多様性が大切なんだそうです。一人一人の生活を見直すことで、自然本来の環境を取り戻せるのだと実証できました。
立川館長
そういう“深い”取り組みはすごく良いですね。よく「水をきれいに」と言いますが、ちゃんと必要な微生物がいる「きれい」こそが実は大切なんです。たとえば、近年の瀬戸内海では海藻の育ちが悪いと言われます。そのためウニや貝類が増えず、根つきの生き物もいなくなり、漁業に悪影響を与えています。その原因は、厳しい排水規制で水がきれいになりすぎた(海藻の栄養分になる窒素やリンが減った)ことだとも言われています。その辺も考えながら、バランスよく環境を守っていきたいですね。

人間の都合だけではなく、生き物を通して自然環境を考えることが大事だということですね。

立川館長
そうした機会を提供することこそ水族館の重要な役割の一つで、こういう時代だからこそ重要性が増していると思っています。国内の水族館はそれぞれ色合いが違いますが、海響館はやっぱり「生き物から学びを提供する」ことにこだわりたい。それにリアルな生き物や展示物に接するアナログな面白さこそ水族館で遊び、学ぶ醍醐味ですからね。

とても興味深いお話をありがとうございました。最後に読者の方へメッセージをお願いします。

立川館長
ただ眺めているだけでも楽しいし、海が育む命のつながりに感動することもできる。そんな水族館は、皆さんの人生に何かしら「良いもの」「豊かなもの」を提供できる施設ですので、気軽に足を運んでいただけたらと思います。難しいことは考えず、まずは純粋に楽しんでください。そして、その先にプラスアルファを感じていただけたなら嬉しいし、そのためのサポートを私たちも全力で行っていくつもりです。
森田
私も子どもと何度か来館していますが、こんなに素敵な水族館が身近にあるのは本当にありがたいです。今後もたくさんの「へえ」が見つかる、ワクワクできて楽しい「海響館」であり続けてください。
立川館長
ありがとうございます。同じ「水」を守る仲間であり、芯を持って活動されているシャボン玉石けんさんに負けないよう私たちも頑張ります!

2025年のリニューアル以降、さらに多くの来館者を集めている「海響館」。誰もが目の前のファンタジックな光景に見とれることでしょう。でも立川館長のお話を伺うと、その向こうに美しいだけじゃない“かけがえのないもの”が浮かび上がってきました。そんな奥の深い水族館にもっと出かけてみませんか? 心潤う非日常の空間で、いろんな感動や発見が待っています。

※1 単に動物の芸を見せるだけでなく、動物の驚くべき身体能力や知能、生態について、トレーナーの解説を交えて楽しく学ぶ教育的なプログラムを指す
※2 無添加石けん:香料、着色料、酸化防止剤、合成界面活性剤を使用していない石けんのこと

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